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「品質工学」は何を目指しているのか品質工学って何?寄稿 品質工学会副会長 原 和彦 氏

品質工学って何?―はじめの言葉に代えて―

2004/07/12

 「第2回・品質工学とCAE」の基調講演を補足する意味もあり、5回に分けて品質工学の解説を行う。

 戦後、「品質管理」という言葉は定着してきたが、「品質工学」についてご存じない方が多いのは残念なことである。

 最近の日本のロケット打ち上げ失敗も三菱自動車のクレーム問題も従来の品質管理を徹底しておれば、未然に防止できた問題ではないと思う。三菱ふそうのポート社長が新聞発表で、今後は自動車全体だけでなく、材料や部品加工や組立品の品質管理を徹底して再発防止に努めると述べておられたが、製造における品質管理の徹底だけでは、問題の本質的な解決にはならないのである。

 すなわち、今回の問題は、源流の技術開発や上流の設計責任の問題である。品質工学では、研究開発の段階からお客の立場に立って、お客が欲しい機能と欲しくないノイズの影響を考えた技術開発を行うことを大切だと考えている。

 企業における生産販売活動において最も重要なことは、開発期間の短縮とクレーム撲滅とコスト低減を同時に達成することである。

 開発の効率化には「試作レス」「試験レス」を考えたコンピュータの活用が必須である。品質工学におけるCAEの活用はレスポンスの研究ではなく、下流における機能の安定性と再現性を高めることが目的である。

 そこで、5回に分けて下記の内容で解説を行う。

第1回 何故品質工学なのか
第2回 品質工学の発展の歴史
第3回 品質工学でどんな成果が出たのか
第4回 品質工学では何をするのか
第5回 21世紀は予測技術の時代


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