(1) セル方式
 無線の特性として,同一場所、同一時刻、では同一の周波数は使えないのが常識である(これと矛盾するものとして後述のCDMA方式がある)。限られた無線周波数帯で、出来るだけ多くの加入者を収容するために考えだされたのがセル(cell)方式である。エリアを複数のセル(無線ゾーン)に分割し,各セルに基地局と周波数を割り当てる。このとき、お互いに干渉を許容できる間隔を保った複数のセルで同一周波数を繰り返し利用することにより、高い周波数利用率が実現できる。またセル半径を小さくすることにより加入者容量を高め、送信電力を節約できる。日本固有の現PDC方式では、セル半径は約1~5km、携帯機の出力は最大0.8Wである。

(2) TDMA(時分割多元接続)方式
 1つのセル内で同一の無線周波数を複数の携帯機で時間を分け合って通信する方式である。時間分割によりチャンネル数を増やすことが出来ると共に、基地局の無線装置数を減らすことにもなる。携帯機は今、どのセルに位置しているか常に管理されているのであるが、高速で移動する場合でも携帯機は空き時間を利用して周辺セルの状況等をモニタすることにより現在のセルから隣接セルへの切り替えをスムーズに行うことが出来る。

(3) CDMA(符号分割多元接続)方式
 CDMA方式は上で述べたセル方式とは大きく異なり,広い周波数帯をすべての携帯機が共有して使用する通信方式で、各携帯機はそれぞれ異なる独自の符号で受信波を復調し、元の信号を再生する。干渉に対して強く、通信の品質、速度の面で優れているとされている。日本では、主に現在米国方式のcdma-2000方式と日本が独自に開発したW-CDMA(広帯域CDMA)方式の携帯電話機が競合使用されている。



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