切削効率アップを検討(ミリング、チタン材料Ti-6Al-4V)
目的
チタン材料のアップミリング加工において切削効率を上げることが可能かどうかの検討を行なう。最初に現状の条件にてシミュレーションを行い、次に2つの違った刃先についてシミュレーションを行い、最も切削抵抗及び刃先温度の低いものを選択する。選択された刃先を利用することによって最終的な切削効率アップに向かう。
方法
まず現状の刃先形状(図2a)でシミュレーションを行なう。切削現場では、現状の工具と切削条件にて十分な工具寿命が得られている。そこでシミュレーションによって得られた切削抵抗及び工具温度を制約条件として考える。次に図2b、2c の刃先形状に変更した場合のシミュレーションを行ない、切削力及び工具温度を比較する
結果
図3に刃先形状の違いによる切削力の履歴を示す。刃先2を使った場合、切削力が現状刃先や刃先3に比べて38%切削力が下がっていることがわかる。同じく以下の温度を比較したグラフから、刃先2が温度が低くなっていることが判る。
刃先2の温度は、現在の刃先よりも約40℃低くなっている。よって刃先2を利用することにより切削効率をアップできる可能性がある。刃先2を使って切削スピードを上げて切削量を増やせるかシミュレーションを行ない、新しい条件として、速度を95m/minとした。
まとめ
シミュレーション結果をもとに、切削効率アップが可能なことがわかった。現状の切削スピードと比較すると、切削力は、28%下がり、工具温度に関しては、35?C 上昇した。温度の上昇は、工具寿命を損なわない範囲内であった。2つの切削条件の変更(刃先の変更、スピード変更)により、切削効率を25%アップさせることが可能であることが判った。
この 25%アップの切削効率は、約6000 万円の費用削減となる(約4万円/時、24時間、240日稼動)。