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新しい鋼・コンクリート複合橋の紹介東海大学 工学部 土木工学科 中村 俊一 教授

講座概要(本講座の第1章より抜粋)

 図1.1 建設中の鋼管桁(上面)

 図1.2 建設中の鋼管桁(桁端部側面)

 図1.3 完成した鋼管桁

橋梁は鋼橋とコンクリート橋に大別される。鋼は軽くて高強度であるが、比較的高価である。コンクリートは比較的安価ではあるが、鋼より強度が低く、かつ重い。力学的には、鋼は引張力に対して優れた耐力を示すが、圧縮力に対しては座屈しやすい。コンクリートは圧縮力に対して優れた耐力を示すが、引張力にはきわめて弱い。この対照的な2つの材料を組み合わせた構造が合成構造あるいは複合構造であり、第3の構造と呼ばれる。
鉄筋コンクリート構造やプレストレスコンクリート構造は、引張力に弱いコンクリート構造の弱点を鉄筋あるいはPC鋼材で補った構造であり、広い意味では複合構造である。最近、波型鋼板ウエブ箱桁や エクストラドーズド橋に代表されるような、新しい複合構造が建設されている。これらも、コンクリート部材の弱点を鋼部材で補おうとする発想である。
一方、筆者は鉄鋼メーカーにおいて鋼橋の設計・施工に携わってきたため、鋼橋の弱点をコンクリートで補うとの立場で、新しい合成・複合構造を提案してきた。鋼橋は比較的高価であるが、鋼管やH形鋼など製鉄所で製造される鋼部材を主桁に用いれば加工コストが低減できる。さらに、座屈しやすい部位にコンクリートを充填すれば座屈耐力が向上できる。この考えに基づき最初に提案した新形式橋梁は、鋼管を主桁とする鉄道橋であった。鋼管を主桁に用いることにより加工コストを低減する。

それと同時に、鋼管内にコンクリートを充填することにより曲げ耐力を向上し、さらには騒音・振動の低減をねらった。幸い、この新形式橋は北陸新幹線で採用され、すでに完成している(図1.1, 1.2, 1.3)。
著者は、この鋼管橋以外についても、種々の「新しい鋼・コンクリートの複合構造」を提案し、その構造特性と実現性について研究している。本セミナーでは、現在研究開発中の5つの新構造形式を紹介する。

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配布条件
 
  第1章 はじめに
第2章 圧延H形鋼を用いた桁橋
第3章 コンクリートを部分充填した鋼Ⅰ桁橋
第4章 鋼製U断面を用いた部分PC連続合成桁
第5章 鋼管を主桁とする斜張橋
第6章 斜張橋用の合成主塔
第7章 あとがき
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目次

 
  第1章 はじめに [公開中]
 
  第2章 圧延H形鋼を用いた桁橋 [公開中]
2.1 はじめに
2.2 試設計橋梁
2.3 設計断面力
2.4 許容応力度法による断面照査
2.5 限界状態設計法による断面照査
2.6 まとめ
 
  第3章 コンクリートを部分充填した鋼Ⅰ桁橋 [公開中]
3.1 はじめに 3.2 曲げ耐荷力
3.3 せん断耐荷力
3.4 実橋への適用に関するコメント
3.5 まとめ
 
  第4章 鋼製U断面を用いた部分PC連続合成桁 [公開中]
4.1 はじめに 4.2 M-Φ 関係に関する考察
4.3 許容応力度による設計
4.4 限界状態設計法による設計
4.5 まとめ
 
  第5章 鋼管を主桁とする斜張橋 [公開中]
5.1はじめに
5.2構造の概要
5.3常時荷重に対する検討
5.4耐震検討
5.5最適主塔高さの検討
5.6まとめ
 
  第6章 斜張橋用の合成主塔 [公開中]
6.1 はじめに
6.2 検討橋梁
6.3 常時荷重による発生断面力
6.4 応答スペクトル解析
6.5 耐力照査
6.6 大地震時の検討
6.7 まとめ
 
  第7章 あとがき [公開中]
 

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