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コラム:製造・構造

自動車の軽量化のカギを握る接着技術

アプリケーションサービス部 CAEサービス第1課 小田切 亮

[2019/06/21]

自動車のCO2排出量削減に向けては、主に以下のような観点から対策が進められています。

  • CO2排出量の少ないハイブリッド車、燃料電池自動車の開発
  • 燃費向上
  • AI、IOTを活用した交通システム等の適用による交通の円滑化

この中で燃費性能向上のために最も効果的なのは車体の軽量化です。
特に軽量化に積極的なのは、欧州の高級車メーカーでボディパネルやサブフレーム、補強ブレースなどに高張力鋼板を使用しているほか、アルミ合金やFERPも構造部材に積極的に採用しています。その結果、BMWの「7」シリーズでは130kg、AudiのSUV「Q7」ではなんと300kgもの軽量化に成功しているとのことです。いずれも、マルチマテリアルボティを採用して軽量化を実現しています。
このマルチマテリアルボディを実現するための技術を支えているのは、異なる材料同士を直接接合・接着する技術です。接合のためのボルト・ナットが不要であるために軽量化に大きく寄与しますし、用途に適した接着剤を使用すれば材料をほとんど選ばないことや面接合であるために応力の分散が可能であることもメリットとして挙げられます。

ここでは、シミュレーションにおいてどのように接着剤が取り扱われているかを自動車の塗装工程における熱硬化性樹脂の接着剤を用いた自動車ボディの接合例に挙げてご紹介します。

この例で注目しているのは、塗装工程の中の焼付き乾燥工程です。塗料を塗ったボディを大きなオーブンに投入し熱を与えますが、それと同時に接着剤を硬化させて接着します。これらの挙動をシミュレーションするために必要な情報は、ボディや接着剤の温度分布情報と機械的特性(弾性変形)や熱特性(熱膨張)に加え接着剤の化学変化特性(硬化現象)となります。

まず、オーブンに入れられた自動車のボティの温度分布は、専用のツールである THESEUS-FE Ovenモジュールを使用します。オーブン内のノズルからの噴流条件等が簡単に設定でき、熱伝導、対流熱伝達、ふく射を考慮し、時々刻々自動車ボディの温度分布を求めます。

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求まった温度分布に対して車のボディや接着剤がどのような挙動を示すのかは、構造解析ソフトの Abaqus を用います。このとき接着剤の材料特性については、ユーザーサブルーチンを用いて表現します。接着剤の化学的な状態(硬化収縮)は、「硬化度」というパラメータを用いて温度によって変化します。さらにガラス遷移温度によって液体・個体の変化を表現しています。
これらのパラメータによって接着剤の硬化度の解析あるいは硬化反応を考慮した熱ひずみの解析が実施可能となります。

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CTCは、THESEUS-FE OvenAbaqusの販売代理店です。

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