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コラム:製造・構造

均質化法がつなげるマルチスケールの世界(後半) ~ 均質化法を利用したマルチスケール解析ソリューションのご紹介 ~

アプリケーションサービス部 CAEサービス1課 大場 一輝
科学・工学技術部 複合材技術課 山本 琢也

[2018/04/13]

本記事では前半の均質化法理論のご紹介に続き、CTCで取り扱っている均質化法ソフトウェアと、それを用いたマルチスケール解析ソリューションをご紹介いたします。1つ目はMICRESS HOMATを利用した合金分野のマルチスケール解析、2つ目はComposites Dreamを利用した複合材分野のマルチスケール解析になります。

MICRESS HOMATを用いた合金向けマルチスケール解析

MICRESS HOMAT(以下、HOMAT)は、MICRESSと同じ独Access社により開発されている均質化法ソフトウェアです。MICRESSによるフェーズフィールド法解析では合金の組織形成過程を直接求めることが可能ですが、得られた組織をHOMATにより均質化することで対応したマクロ物性を得ることができる、というストーリーのもとに開発をされました。

このストーリーはAccess社独自のものではなく、近年盛んに研究されているICME(Integrated Computational Materials Engineering)に呼応したものです。ICME は大雑把に言えば材料開発分野でのCAE推進による開発期間・コストの削減を目標とした活動であり、アメリカのMaterials Genome Initiativeに代表されるような各国で数百億円規模の投資がなされる一大プロジェクトとなっています(詳細はこちらの記事をご参照ください)。下図は欧州ICMEg projectのwebページに掲載されている、ICMEによるマルチスケール連成解析のイメージ図になります。

さて、HOMATに話題を戻しますが、HOMATではMICRESSの計算結果であるミクロ組織を直接読み込んで計算できることが最大の特徴となっており、HOMAT付属の有限要素法ソルバーによりミクロ組織のマクロ均質化物性を計算することができ、さらにその逆の局所化計算も実行可能です。HOMATソルバーでは線形物性(例えば弾性係数テンソル)しか取り扱えませんが、金属塑性等の材料非線形に対応するべく、Abaqus入力形式へメッシュを変換することも可能です。Abaqusで数値材料試験を行うことで、より広い範囲の物性値を計測することが可能になります。下図はMICRESSで得られた合金のミクロ構造を用い、HOMATにて均質化/局所化計算を行う際の計算プロセスのイメージになります。

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CTCではHOMATの販売・サポートをしているだけではなく、ICMEによる合金マルチスケール解析についての調査・研究を独自に進めており、解析全体をトータルにお届けすることが可能です。

Composites Dreamを用いた複合材向けマルチスケール解析

Composites DreamはCTCが開発する繊維強化複合材の解析システムで、様々な複合材に対応するパラメトリックな形状作成と有限要素メッシュ作成に加えて、各種有限要素解析をシームレスに行うことが可能です。複合材形状は織物、組物(シート状、チューブ状)、Non-crimp fabric、短繊維、カットテープ等に対応しています。有限要素解析は内蔵の解析ソルバーのほか、汎用ソルバ(LS-DYNA、Abaqus)へのインターフェースを有しています。作成された有限要素メッシュを利用して任意の解析を実施できますが、Composites Dreamではマルチスケール解析を行うための解析フレームワークとして、下記の2種類を用意しております。

1.M3(エム・キューブ)法解析

マクロスケールの複合材部品に対し、内部損傷などのミクロスケールの現象を明らかにするための解析フレームワークです。複合材の内部組織を表すミクロモデルおよびその均質化物性が定義されたマクロモデルを使用します。下図に示す通り、複合材は一般的に階層構造をしており、この階層は小さなスケールから順に、繊維と樹脂が混在するミクロ構造、繊維束の織構造などのメゾ構造、そして部材のマクロ構造となります。M3法はこれら3つの構造スケールに対応した3つのモデルを用います。マクロモデルにメゾモデルを、またメゾモデルにミクロモデルを同時に重合させることで(重合メッシュ法)、マクロモデルの任意位置に対応したメゾおよびミクロな内部状態を計算することができます。これにより顕微鏡観察のように注目部における損傷などの内部状態を確認することが可能です。

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2.Direct Micromechanics Method解析

マクロモデルにて現象論的な損傷構成則を定義する代わりに、内部組織を表すミクロモデルの損傷解析を利用するための解析フレームワークです。複合材のような非均一な材料は損傷形態も特殊であり、均一材料を想定して構築された現象論的な損傷構成則では表現できないことも多いのですが、本フレームワークではミクロスケールで損傷解析をマクロスケールに反映することでマクロスケールの損傷解析を可能とします。具体的には、マクロモデルにおける各要素の変形に対し予め計算されたミクロモデルの応答係数(変形モードに対する応力)をかけ合わせることでミクロな内部状態を求めます。この内部状態を損傷判定などに用いることで、マクロな損傷構成則なしにマクロスケールの損傷解析を可能としています。

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上記以外にもComposites Dreamは豊富な機能により複合材の様々な問題に対応します。また新たな機能開発・カスタマイズのご要望にも柔軟に対応します。

マルチフェーズフィールド法金属組織形成計算ソフトウェア MICRESSの紹介ページはこちら http://www.engineering-eye.com/MICRESS/index.html

均質化法計算ソフトウェア MICRESS HOMATの紹介ページはこちら http://www.engineering-eye.com/HOMAT/index.html

有限要素法ソフトウェアAbaqusの紹介ページはこちら http://www.engineering-eye.com/ABAQUS/index.html

複合材料解析システムComposites Dreamに関する詳しい情報はこちら http://www.engineering-eye.com/COMPOSITES_DREAM/index.html