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コラム:建設系

地震、振動に関する動的解析手法

科学・工学技術部 建設技術課 泉 和伸

[2018/02/16]

地震、交通振動、機械振動のような動的荷重による解析の数値解析法は、目的、解析モデルに応じて、直接積分法、モード法、複素応答法から選択されます。直積積分法は、強震地震動による非線形解析をする場合に有効で、建設分野全般の地盤・構造物の耐震設計に活用されています。モード法は、減衰要素や非線形解析の適用はできませんが、プラント構造物等の弾性設計には容易に適用可能です。複素応答法は、強震地震動による非線形解析はできませんが、交通振動、機械振動等による周辺への影響をシミュレーションする解析に有効な手法です。
各々の解析法には特徴があり、その特徴を下表に示します。

表 各動的解析手法の特徴

解析手法 直接積分法 モード法 複素応答法
スペクトルモード法 時刻歴モード法
方法・
仮定 
多自由度運動方程式を時間軸に沿って、直接的に数値積分し解を求める手法。
数値積分は一般的には、陰解法のニューマークβ法が用いられる場合が多い。
直交座標系の多自由度運動方程式を固有値解析から得られた振動モードを用いて、1自由度系のモード座標系に変換し、モード座標系の変位、速度、加速度を算出する。得られた、モード応答と振動モードから直交座標系の応答値を求める。 時間領域から周波数領域に変換し、周波数領域における運動方程式から正弦波に対する解を求める。その周波数領域の解を重ね合わせて時間領域の解を求める。
時間領域から周波数領域の変換は高速フーリエ変換、周波数領域から時間領域の変換は高速フーリエ逆変換による。
モード座標系の応答値を応答スペクトルから求め、そのモード応答の重ね合わせから、最大応答値を求める。重ね合わせにはSRSS法、CQC法が用いられる。 モード座標系の応答を数値積分して求め、そのモード応答と振動モードから、時々刻々の応答を求める。数値積分は厳密解が得られる、Duhamel積分、Nigam法が推奨される。
長所
  • 応答の経時変化を知ることができる。
  • 非線形を考慮できる。
  • 時刻歴応答結果に近い最大応答が比較的容易に求まる。
  • 応答スペクトルにより、多数の強震地震の特性を反映させられる。
  • 計算時間が他の解法より最も短い。
  • 応答の経時変化を知ることができる。
  • 厳密解に近い応答が得られる。
  • 計算時間が短い。
  • 地盤の復元力特性の周波数依存性が考慮出来る(動的相互作用)。
  • 半無限境界のエネルギー伝達境界が設定できる。
短所
  • 計算量が多大。
  • 非線形のときは解が不安定になり、発散する場合がある。
  • 最大応答のみ評価となる。
  • 線形系のみに適用される。
  • ダンパーが使用できない。
  • 線形系のみ適用される。
  • 減衰要素が使用できない。
  • 基本的には線形系のみ適用されるが、等価線形法を用いる事により地盤の非線形性も考慮できる。

CTCでは、SoilPlus、DYNA2E、FINAS/STAR、STAAD、AUTOPIPE等の地震や振動に関する動的解析機能を有している解析コードを提供しております。

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地盤・浸透・耐震統合解析システムSoilPlus
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3次元骨組構造物非線形動的解析システムDYNA2E
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