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コラム

【超音波解析】超音波を用いた検査・計測CAEの基礎

科学システムサポート部 池上 泰史

[2018/02/01]

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可聴上限周波数の2万Hz以上の気体・液体・固体中の振動を指す超音波は、ネジや電子部品などの小さなものから自動車や橋のような大きなものまで、あらゆるものを破壊することなく検査することができます。人間は音として認識できないため騒音となることもなく人体にも無害とされており、あらゆるものの検査・計測を安全に使うことができ、超音波による検査技術の活用が進んでいます。

例えば、自動車や電化製品に用いられているバッテリーは、近年、電気自動車の普及や電装品の大容量化に伴い大型化し、製造不良による発火事故も起こっていますが、製造時に不良品を排除するための手段として超音波検査技術が利用されています。また、自動車や航空機ボディの新素材として脚光を浴びるようになったCFRP(炭素繊維強化プラスチック)などの複合材は、金属よりも軽く強度があるため金属の代わりになると考えられる一方、劣化や破壊が外から分かりにくいため、製造時はもちろん、運用時の検査も重要視されており、ここでも超音波検査技術が利用されています。

また様々な物に反射する超音波の特性を生かし、近年、自動車の衝突防止や防犯に貢献する各種センサにも応用されています。人の命や財産に関わるセンサは計測精度が検出性・安全性を左右するため、高い品質が要求されます。

このように様々な検査・計測手法や装置を高品質かつ高精度に開発するにあたり利用されているシミュレータが、CTCが開発した超音波シミュレータ「ComWAVE」です。「ComWAVE」は、高精度な解析手法として知られている有限要素法を採用し、独自のアルゴリズムにより、これまで不可能であった100億要素規模の大規模な超音波伝搬解析をクラスタPCやGPGPUを駆使し、高速に実行できるようにした画期的なシミュレータです。

これまでは高度な解析をする際には強力なコンピュータパワーを必要としたため、検査・計測の対象や範囲、品数が限られていましたが、「ComWAVE」の登場により、ネジのような小さなものから航空機ボディのような大きなものまで、あらゆる形状、大きさのものに対して、微細な分析や解析が効率よくできるようになりました。

現在「ComWAVE」のユーザ数は国内で100社を超え、様々な企業や研究機関などに導入され幅広く活用されています。CTCでは、超音波シミュレータをあらゆる分野で活用し、高品質なものづくりや社会の安心・安全に貢献していきます。

超音波シミュレータ「ComWAVE」の詳細はこちら
http://www.engineering-eye.com/ComWAVE/index.html