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コラム:マルチフィジックス

クリープを考慮した解析

科学システム開発部 長谷川 豊

[2017/06/16]

クリープ(Creep)は金属材料をはじめとし、コンクリート、岩石などの多くの材料でみられる、ひずみが生じるメカニズムのひとつです。 英和辞典によると、Creep には、「はう」「こっそり近づく」「のろのろ進む」という意味があります。
ゆっくりと進むひずみというイメージが、きっとその語の由来となっているのでしょう。材料のクリープとは、外部から持続的な力が加わることにより、時間の経過とともに徐々に物体が変形する現象になります。

クリープ変形は、材料の温度が高いほど、進展する速度(クリープ速度)が速くなります。その目安としては、絶対温度における融点の4割~5割程度でクリープ変形は顕著になるといわれます。タービンやエンジンなどでは1000℃を超える高温(超高温)でもクリープ強度を持つ超合金が使用され、はんだなどの低融点材料では,室温においてもクリープ変形が観察されます。鉄鋼の場合約 400℃以上で、アルミ合金の場合 200℃以上、はんだ(鉛)では常温でクリープが問題になります。

クリープ解析は、クリープ速度を表す材料特性のクリープ則やクリープ式を用いて、クリープひずみを評価し、変形と応力を計算で求めます。クリープ変形に、通常遷移クリープ、定常クリープと 3次クリープの3つの段階があります。材料実験のデータから各段階のクリープ式のパラメータの特定がクリープ解析の精度に大きく影響します。また、クリープは塑性変形などと伴う複雑な問題が多く、解析結果の妥当性評価を慎重に行わなければなりません。

CTCは高温状態の応力解析や疲労評価において、クリープ解析を実施しております。その際に主に下記の製品を利用しております。