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コラム:熱流体

流体システム解析における1D-3D連携のメリット

科学システムサポート部 シミュレーションサポート課 武田 知之

[2017/04/14]

数値解析を実施する場合、短時間、低コストで高精度の結果を得ることが理想です。流体解析の分野のおいて解析ソフトウェアは3次元的流れを考慮する3D-CFDと流れ方向の1次元的な挙動のみを考慮する1D-CFDに大きく分けられますが、両者は一般的に精度、計算負荷の面で一長一短であり、短時間、高精度を実現することは困難です。そこで両者のメリットを組み合わせた1D-3D連携についてご紹介します。

まず3D-CFDでは、作動流体の3次元挙動が計算されるため、適切な設定を行うことで1次元より精度の良い(実機に近い)結果が得られます。また、実機では見ることのできない場所の流れを可視化することもできます。しかしこの結果を得るためには多くのプロセス([1]CADデータ入手、[2]流体空間の固体形状修正、[3]空間メッシュ作成、[4]計算モデル選定と設定、[5]計算、[6]結果データ処理)が必要です。しかも3次元という特性上、画像処理や計算の負荷が大きく高性能な計算機が必要となる場合もあります。

次に1D-CFDは、3D-CFDと比べて短い時間で計算できることが特徴であり、一般的な流れに関する理論式や実験式、実験データに基づいた計算が行われます。そのため、理論式で記述できない複雑な流れが含まれる場合など、現象を正しく表現することが難しい場合があります。 例えば、自動車用サーモスタットやポンプハウジングなどの複数流路の分岐・合流部のモデリングでは、個々の流路を独立した1次元要素としてモデル化すると、出口部からの流量を予測する際に15~20%の誤差が生じる可能性があるとの報告があります。

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このような場合に1D-3D連携の適用が考えられます。上記の例では1次元でのモデル化が難しいポンプハウジング部分について3D-CFDによりパラメトリックスタディを行い、圧力損失等の特性データを取得します。この特性データを1D-CFDに組み込むことで、1D-CFDの長所である短い計算時間、3D-CFDの長所である解析精度を組み合わせた1D-3D連携解析が実施可能となります。

弊社では、これを実現する1次元流体解析ソフトFloMASTERを取り扱っております。2016年12月にリリースしたV8よりモデルベース開発(MBD)機能が実装され、同社の3次元流体解析ソフトFloFEDの結果から簡単に1次元解析モデルを作成することが可能となりました。

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1次元熱流動解析ソフトウェアFloMASTER
http://www.engineering-eye.com/FLOWMASTER/