HOME技術コラムLS-DYNA Users Conference 参加のご報告

コラム:製造・構造

LS-DYNA Users Conference 参加のご報告

科学・工学技術部 複合材技術課 山田 弦

[2016/08/26]

イメージ

汎用有限要素法解析ソフトLS-DYNAは、動的な衝突問題から準静的な塑性加工問題や静的問題などに適用可能なソフトで、主に自動車業界などで利用されています。今回は、2016年6月13~14日に開催された14th International LS-DYNA Users Conferenceの参加報告をさせていただきます。

LS-DYNAのユーザー会は毎年アメリカとヨーロッパで交互に開催されています。
今年のLS-DYNA Users Conferenceはアメリカのミシガン州デトロイト近郊の町ディアボーンにて開催されました。ディアボーンは米フォード創立者のヘンリーフォードの出身地であり、フォード・モーターの本社の所在地になります。

今年の参加数は世界25カ国から約750名で、前回に比べ100名ほど増加したそうです。日程は、例年、初日の午前中に幾つかの基調講演とスポンサーによる講演があり、今回はLS-DYNAの開発元LSTC社、GMやフォードなどの自動車メーカー、Micro SoftやCrayなどのコンピュータのソフト・ハードメーカー、コンサルタントなどから全部で8件の講演があり、任意の破壊設定機能(MAT_ADD_EROSION)やICFD解析、LS-PREPOSTについて最新機能の紹介などがありました。
午後からは一般講演となります。下記に一般講演のカテゴリー(括弧内は講演数)と内容を紹介します。講演は15のカテゴリーが9部屋に分かれての同時進行となります。

  1. Aerospace(12)
    Tabulated_johonson-cook、GISSMO拡張モデル、土への飛行機の着陸衝撃など
  2. Automotive(8)
    トラックの保護柱への衝突、6歳児用ダミーモデルの紹介や溶接の熱応力計算
  3. Blast(5)
    PBMやDEM_PGMによる爆破解析のモデリング
  4. Composite(6)
    大型複合材コンテナの強度解析やUD材のミクロ数学モデルの紹介など
  5. Computing Technologies(6)
    コンピュータメーカーによるMPI手法やハードのパフォーマンス紹介など
  6. Connection(3)
    最新の溶接解析事例やボルト結合の衝突モデルの事例紹介など
  7. Constitutive Modeling(13)
    ペリダイナミクス機能のや複合材(ボールをバットで打つ解析など)事例など
  8. Electromagnetic(5)
    構造、熱、電磁場連成解析やバッテリーのAbuse解析事例の紹介など
  9. FSI/ALE(5)
    CFDによる自動車や羽翼の空力計算、ALEスロッシング、SPH事例など
  10. Metal Forming(7)
    金属成形解析事例や、LS-DYNAの機能開発について
  11. Modeling(8)
    バイク、自動車のモデリングやLS-PREPOSTの新機能説明
  12. NVH(1)
    高周波数の音響解析
  13. Occupant Safety(8)
    ダミーモデルやエアバッグの解析事例
  14. Optimization(5)
    位相最適化事例とLS-OPTの機能について
  15. Simulations(25)
    ガードレールへの衝突や、射出成形樹脂解析、R9からの構造ALE解析など

今回のユーザー会からComposite、Connection、NVH、Modelingといったセッションが増えており、複合材料の解析や異材接合の手法開発などの紹介されました。
また、ALEやCFD、メッシュフリー関連の講演も非常に多く、開発側としても力を注いでいることがわかりました。

またユーザー会の最後には、LSTC社の開発者9名からおよそ3時間半にも及ぶ新機能や今後の開発計画についての講演がありました。下記に主なものを紹介します。

  • Mortar接触機能の向上
  • 陰解法機能の刷新
  • 溶接の熱進展解析
  • LS-PREPOSTでの設定機能
  • バッテリーの発熱解析機能
  • ダンボール、ガラス材料モデルの追加
  • MAT_ADD_GENERALIZED_DAMAGEの追加

なお、ユーザー会で発表された論文はWEBのDYNALOOKサイト(“dynalook”で検索)で閲覧可能ですので、ご興味のある分野のキーワードで検索してみてください。

最後に、来年度のLS-DYNAのユーザー会の情報をご案内します。
11th European LS-DYNA Users Conferenceは、2017年 5月 9日~11日の日程でオーストリアのザルツブルグにて開催予定です。風光明媚なザルツブルグで、是非我々といっしょに参加・発表しませんか?

汎用非線形構造解析シミュレーションツールLS-DYNAについてはこちら
http://www.engineering-eye.com/LS-DYNA/

このページの先頭へ