コラム:マルチフィジックス
科学システム開発部 応用技術課 顧 文 火韋
[2016/03/01]
近10月30日付けでFINAS/CRACK 2015をリリースいたしました。FINAS/CRACKは、3次元の構造解析モデルに対してき裂を挿入し、き裂進展解析を自動で行うソフトウェアです。複雑形状へのき裂挿入、高精度な破壊力学パラメータの計算、残留応力への対応、混合モード下のき裂進展などを特徴としています。
今回のリリースは、以上の特徴をさらに強化しつつ、実用性及び汎用性の向上にかかわる機能の強化が図られています。ここでは、機能強化の概要を紹介します。
構造解析では、使用される要素タイプはソリッド要素ばかりではありません。
FINAS/CRACK 2015では、従来のソリッド要素から、シェル、トラス、はり要素との混在モデルにも対応します。これにより、き裂挿入部のみをソリッド要素化することで、各種の構造解析メッシュをき裂進展に用いることができます。
FINAS/CRACK 2015では、従来のABAQUS, FINAS/STAR のほか、NASTRANを用いたき裂進展解析ができるようになりました。対応要素はソリッドのほか、シェル、はり、トラス要素が混在するモデルにも対応します。これにより、応力解析ソフトとしてNASTRANを用いている場合でも、FINAS/CRACKをスムーズに活用いただけるようになりました。
K,⊿K の値によって進展速度が異なるという、段違い進展則が使えるようにき裂進展則を拡張しました。また、進展則の単位系の変換機能を追加しました。
FINAS /CRACK 2015 では、複数き裂が扱えるようになりました。これにより、FEM解析に基づき、複数のき裂間の相互影響が検討できるようになります。また、進展後の表面き裂先端が物体表面を貫通した場合、貫通き裂になって、解析を続行できるようにしました。
解析対象に対して、き裂周辺の事前に指定された範囲のみリメッシュすることができるようになりました。これにより、メッシュサイズを抑え、解析効率を高められるほか、き裂周辺以外のメッシュ品質も維持することができます。
ABAQUS/CAE または FEMAP を用いて、き裂挿入前に初期き裂前縁を表示できるほか、進展回数ごとのき裂前縁履歴を表示できるなど、出力を強化しました。また、より簡単に前縁点の進展履歴図が作成できる出力を追加しました。
3次元FEM自動き裂進展解析システム FINAS/CRACKの紹介ページはこちら
http://www.eng-eye.com/FINAS_CRACK/