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コラム:製造・構造

自動車衝突解析における接合のモデル化

科学システムサポートチーム CAEサポート課 早川 尊行

[2016/02/01]

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近年、自動車に様々な材料が使われるようになってきました。高張力鋼板(鉄)アルミ合金、複合材などが挙げられます。車体は多数の板材を組み合わせて構成 されますが、その際に必要となるのが各種接合技術です。車体全体で約6000ヶ所のスポット溶接が鋼板同士の接合に用いられており、登場から長い歴史を経た今でも、スポット溶接は主たる接合技術の1つであり続けています。

高張力鋼板の接合では、スポット溶接が今も幅広く利用されていますが、板材の剛性が上昇した半面、点で結合するスポット溶接周辺は特に応力が高くなります。その結果、スポット溶接周辺が相対的に弱点となり、破断が生じやすくなります。一方、鉄とアルミなどの接合では、スポット溶接は利用できないため、新たな接合技術が必要となります。代表例として、セルフ・ピアシング・リベット(SPR)や摩擦撹拌結合(FSW)などが挙げられます。軽量化や異材接合の手段としてこれらの接合技術が実車適用されるようになってきました。また、構造用接着剤の登場により、鋼板同士もしくは複合材と鋼板、複合材同士を接着剤で結合するケースも増えてきました。材料面の変化だけでなく接合技術そのものの変化、さらには衝突性能予測への精度向上の要請が高まっていることから、従来の解析技術では十分な精度を達成できなくなってきています。自動車衝突解析分野において、接合に関する技術力向上は喫緊の課題となっており、弊社としても取り組みを強化しているところです。

その取り組みの一環として、本年10月、ドイツのシュトゥットガルトで実施されたDYNAmoreのトレーニングに参加してきました。今回、日本からは弊社が唯一の参加でした。(DYNAmoreはドイツに拠点を置き、LSTCと共にLS-DYNAの開発、普及に取り組む企業です)クラスの内容は非常に広範囲で、スポット溶接を始めとする点による結合、ある種の溶接による線の結合、接着剤のような面による結合、その他、各種ジョイントやボルトにまで話は及びました。主に英語、時にはドイツ語が飛び交うディスカッションでのその白熱したやりとりから、接合技術への関心の高さが伺えました。今後もこのようなトレーニングには積極的に参加し、最新の技術的動向にキャッチアップしていきたいと考えています。
皆様と共に、これらの技術分野へチャレンジしていければ望外の喜びです。

汎用非線形構造解析シミュレーションツールLS-DYNAの紹介ページはこちら
http://www.engineering-eye.com/LS-DYNA/index.html

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