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高圧ガス設備等における配管系の耐震設計と解析寄稿 本橋 賀津彦

第2回:レベル2耐震性能評価と等価線形解析法

2004/04/01

1. はじめに

高圧ガス設備等耐震設計基準(告示515号)の一部が1997年に改正され(告示143号)、配管系が耐震設計の対象になっています。また、改正告示では、耐震設計地震動がレベル1地震動とレベル2地震動の2段階評価になっています。AutoPIPEのKHK-2コードは、レベル2地震動に対する評価に対応したコードとなります。重要度IaおよびIの配管系に関しては、レベル2地震動に対する耐震性能評価を行う必要があります。

鋼管は延性に優れ大きな塑性変形能力を有し、また、一般に多点で支持されることにより不静定次数が高いため、降伏応力を超えた変形を生じてもすぐに破壊に至ることはないと考えられます。配管系において構造の特性から可とう性の多くは曲がり管が寄与しており、曲がり管において大きな変位吸収能力を期待することができます。配管系のレベル2耐震性能評価では、曲がり管における損傷モードを想定し、曲がり部の弾塑性の影響を考慮した等価線形解析法による解析および評価が必要になります。なお、曲がり部以外の直管部やティー部では、過度の変形を許容せず、弾性状態として設計します。

また、レベル1地震動に関しては、慣性力と慣性力による支持構造物の応答変位に関する耐震性能の評価を行いますが、レベル2地震動に関しては、液状化・流動化するおそれのある地盤上に設置された配管系については、慣性力の評価に加えて、地盤の液状化に伴う基礎の移動の影響を考慮する必要があります。

2. 等価線形解析法

 レベル2の耐震性能評価では、曲がり管の角度変形による塑性たわみ係数( )を用いた等価線形解析法による解析および評価を行う必要があります。曲がり管に荷重が作用すると断面が徐々に扁平しますが、この変形特性は変形のモードによって異なるため、指針では曲がり管の変形モード別に曲がり管の変形角度と塑性たわみ係数の関係式が以下のように示されています。AutoPIPEでは、慣性力および応答変位による解析では平均による近似式、地盤変状による解析では変形の方向に関係なく面内伸展による近似式をそれぞれ使用します。

面内屈曲による近似式 面内屈曲による近似式
面内伸展による近似式 面内伸展による近似式
面外による近似式 面外による近似式
平均による近似式 平均による近似式
ここに、
Kp  塑性変形時のたわみ係数。
h たわみ特性値 (=tR/r2)。ここで、tは曲がり管の肉厚、Rは曲がり管の曲げ半径、rは管の平均半径。
θ  曲がり管の変形角度。
Ke  弾性時のたわみ係数 (=1.65/h)。
So  基準降伏点 (215N/mm2)。
Sy 材料の降伏点または0.2%耐力。
 
以下に、等価線形解析法の処理フローを示します。

図1 等価線形解析法の処理フロー

図1 等価線形解析法の処理フロー


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