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高圧ガス設備等における配管系の耐震設計と解析寄稿 本橋 賀津彦

第1回:レベル1耐震性能評価について

2003/08/04

3. レベル1耐震評価機能の概要

荷重の組合せと許容応力

レベル1耐震性能評価において対象となる配管の荷重の組合せは、高圧ガス設備等耐設計のレベル1指針より以下の通りです。 AutoPIPEではこれらの荷重の組合せが自動的に設定されます。また、AutoPIPEには特定設備検査の材料データが登録されており、耐震用の許容応力値が自動的に設定されます。

表2.1 配管のレベル1耐震性能評価における荷重の組合せ
  流体の圧力 運転重量 地震荷重
慣性力 相対変位
長手方向応力
σl
 
繰り返し応力範囲
σE
   
支持構造

解析に用いる弾性係数

AutoPIPEには、特定設備検査規則第19条の縦弾性係数についてもその抜粋がデータベースに登録されています。AutoPIPEでは、運転温度での弾性係数が自動的に設定され、解析に反映されます。

解析における腐れしろの扱い

基準では、配管の梁要素の剛性は公称寸法から腐れしろを除いた寸法により算出するようになっています。AutoPIPEでは、腐れしろを除いた薄い肉厚で剛性を自動的に算出します。なお、重量については腐れしろを考慮しない公称寸法により算出しています。

配管の高さ方向の震度分布

修正震度法では水平方向の設計震度は高さごとに変わります。そして、配管に作用する設計修正地震力も高さごとに変わります。AutoPIPEでは、設計震度が異なる領域ごとに設計修正地震力を個別に定義することができます。
なお、地震荷重を定義する際、AutoPIPEではβやμ等の係数を入力するのではなく、これらの係数を掛け合わせて最終的に求められる設計修正地震力を入力します。

慣性力に伴う配管支持点の応答変位

通常、配管支持構造物と配管とは独立に解析します。したがって、配管の応力解析を行う前に支持構造物の応答変位を算出し、求められた配管支持部の応答変位を配管系の支持点の強制変位として入力します。配管ラインは複数の機器や架構に支持されていますが、これらの構造物は独立に振動するため、個々の構造物間の相対変位が発生します。AutoPIPEの地震相対変位解析機能によりこれらの位相を考慮した解析が可能です。


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