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千代田アドバンスト・ソリューションズ株式会社 様プラントライフサイクルエンジニアリングで
プラントの価値創造と安全向上に貢献

お話を伺った方

東洋ゴム工業株式会社 タイヤカンパニー 様コンサルタント事業室 室長
安藤文雄様 (写真右下)
SDSユニット ユニットマネージャー 構造技術
篠原昌孝様 (写真右上)
SDSユニット ユニットマネージャー 建設技術
大嶋昌巳様 (写真左下)
SDSユニット ユニットマネージャー代理 建設技術
加瀬 隆様 (写真左上)


千代田アドバンスト・ソリューションズ株式会社(略称:ChAS(チェイス))は、エンジニアリング業界をリードする千代田化工建設株式会社で培った高度なエンジニアリング技術を基盤に、各種解析技術やシステム開発などの機能を分社化して2002年4月にスタートした。ChASは、各種産業プラントの起案・調査・設計から、建設、運転、保守、改良さらには廃棄におけるさまざまなユーザー・ニーズに、「プラントライフサイクルエンジニアリング(PLE)」の視点で総合的に取り組んでいる。

ChASでは、CRCのSTAAD.ProAutoPIPEなどの構造解析ソフトをご利用いただくとともに、共同で「高圧ガス設備耐震設計講習会」を開催し、プラントの耐震設計技術の向上に取り組んできました。今回はChAS様のソリューションについてお伺いいたしました。

プラントライフサイクルエンジニアリング(PLE)

これまでプラントエンジニアリングといえば調査・設計・建設から試運転までが主体のビジネスでしたが、ChASではPLEという考え方のもと、プラント設備の企画から、設計、建設、運営そして廃棄に至るまでのプラントのライフサイクルを通して、お客様のパートナーとなって技術支援に取り組んでいます。ただ設備を作って売るだけでなく、アフターサービスに対するご要望にしっかりお応えしていこうというものです。

例えば、プラントの「保全作業の高度化」や「信頼性の向上」のためのコンサルティングサービスを行っており、設備管理の優先順位やコスト最適化を図るために信頼性向上プログラムを用意して、合理的な設備保全の提案をしています。また、最近ではプラントの設備機器の健全性をモニターする「設備の状態監視」のため、解析技術と音響信号や光ファイバーセンシングなどを組み合わせた新しいソリューションを開発しています。

音響モニタリングや光ファイバーセンシングを活用

いままでコンプレッサーのバルブ部分の異常を検知するには、要所要所に加速度をピックアップするセンサーをつけており、精度を上げるためには数多くのセンサーが必要という難点がありました。音響モニタリングシステムでは、マイクロホンでバルブの音を拾います。事前に正常音と異常音を記録しておき、フィルタリングして比べることで異常を検知します。この方法だとセンサーの数が少なくてすみ、異常を特定するのも早く、どこが悪いかも容易に特定できるというメリットがあります。

また、非常に分解能がよい光ファイバー計測システムを活用して、光センシングによる高度なモニタリングシステムを開発しました。大規模プラントや長距離パイプラインに光ファイバー網を張り巡らせることで、機器全体の健全性を遠隔地からモニタリングすることが可能になりました。例えば、配管に光ファイバーを巻きつけておくと、減肉や変形があったときにファイバーにひずみが出ます。そのひずみの情報からどのくらい減肉しているか、場所はどこかが特定できます。従来のひずみセンサーと違いスペースも不要でコストが安く、電流を通さないので防爆を要求されるところでも使えるなど、多くのメリットがあります。

音響モニタリングや光ファイバーセンシングを活用

第三者の立場でプラント設備の耐震診断サービス

ChASの重要な業務の1つに耐震・劣化診断サービスがあります。プラントの地震リスクの低減を目指して、コンサルティングから診断・評価・対策立案まで行うので、近年、たいへん需要が多くなっています。

プラント設備に対する耐震設計は、「建築基準法の耐震設計方法を準用」した時代から、「プラント設備毎の耐震設計方法の準備」の時代を経て、1981年にその流れを包含した高圧ガス保安法の告示が制定され、「耐震設計の対象となるプラント設備毎に耐震設計方法が提示され、重要度分類が適用される」こととなりました。さらに、1995年の兵庫県南部地震以降、大地震(レベル2地震動)に対する耐震設計である2次設計が取り入れられるとともに、配管系も耐震対象設備に取り入れられました。

浮き屋根のスロッシング抑制構造最近では2003年十勝沖地震でタンク火災がありました。それまでの基準での耐震対策は行っていたのですが、予想外の長周期の地震波により、タンクの内容液があふれたり、浮屋根が壊れて沈没するなどして火災となったのです。この事故の後、消防法で浮屋根の耐震基準が改正されました。また、事故が起きるとその影響が広範囲に及ぶことも再認識され、経営者の耐震設計に対する理解も深まった感があります。

浮き屋根のスロッシング抑制構造

お客様のプラント設備にはまだ1981年以前に建設されたものがたくさんあります。30年余りも使用してきて、まだ稼動中のものをさらにあと20年使用するために、どこをどのように直したり補強したりするべきか。消防法の基準などはさかのぼって設備に適用しなければなりません。そういう部分できちんとしたご提案をすることをChASは目指しています。

また、私たちはコンサルタントとして仕様書は作成しますが、工事を請け負うことはしません。中立性を保ち、第三者の立場で対応します。以前、液状化対策で5社の建設会社のプランを評価したところ、当初の予定より費用が軽減したという例もありました。

第三者の立場でプラント設備の耐震診断サービス

配管設備の耐震基準の見直しに協力

よく昔の基準のままのプラント設備で危険はないのかと聞かれることがありますが、阪神大震災でも塔槽類など重要な設備は壊れませんでした。一部の弁が壊れたくらいです。昔の設計はかなり余裕をもったものになっているのだと思います。今後は、いままでの被害事例をよく研究して、その被害が発生しないような設計をしていきます。

また、現在、配管設備については高圧ガス保安協会で耐震基準の改訂を進めており、それには当社も協力しています。2006年度にはテストを行い、今後3年くらいで耐震診断要領が公開される予定だそうです。

CRC取り扱いソフトウェアへのご要望

STAAD.Proについては弾塑性解析の機能があるといいですね。他の2次元設計用のソフトは建築用にできているので、プラント設計では扱いにくいですが、3次元設計用のSTAAD.Proは使い易いので、さらに良い設計用の機能がついたら便利になるのではないでしょうか。

インタビューを終えて │ 後 記 │Editor's notes
最近のプラント設計では、CADから解析まですべて一体化という動きがあるように思えます。そこで、「耐震解析で架構と配管を一体化してモデル化できるのでは?」と伺ったところ、「基礎が異なるので一体化して考えるのは難しい。計算結果の評価も難しい」とのお答えでした。ChAS様とは、過去2回「高圧ガス設備耐震設計講習会」を共同で開催させていただき、耐震設計に携わるお客様から好評を博しました。今後の配管の耐震診断要領の公開に際しても、同様の講習会の開催などを企画できればと考えております。(聞き手:CRC松倉・宮口)

名称 千代田アドバンスト・ソリューションズ株式会社
ChAS
http://www.chiyoda-as.co.jp/

本社所在地 〒221-0031
神奈川県横浜市神奈川区新浦島町1-1-25
テクノウェイブ100ビル
設立 2002年4月1日
社長 代表取締役社長 高山 巧
資本金 2億円(千代田化工建設株式会社100%出資)
主な事業概要 各種解析技術、一般産業設備の設備改善、コンピュータ応用システム、宇宙環境利用に関するコンサルティングとエンジニアリングソリューションの提供
※2006年4月現在
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