
空域解析の事例
アトランタオリンピック
1996年夏、アトランタオリンピックが華やかに開催された。それに先立ち、観光客輸送の拠点であるHartsfield国際空港では、オリンピック開催に伴う増便や、爆弾テロの対策をする必要性があった。Hartsfield国際空港をメイン空港としているデルタ航空は、TAAMを使用して、対策案を検討することとした。そしてこの解析をACI、Del
Balzo Associatesに依頼した。
まずは、現状の空港空域運航を正確に模擬するシミュレーションモデルをTAAM上に作成することになった。モデリングチームは、実際のフライトストリップや、天候状況別の航空機の離着陸間隔等のデータを入力した。作成されたシミュレーションモデルは、実運航データと比較し、パラメータの微調整が行われ、現状を模擬するシミュレーションモデルが完成した。
そして、そのモデルをベースに開催日前後の一日ごとに想定される増便数を反映したモデルが作成された。特に閉会直後は大変な混雑が予想された。またその他想定される問題点を加味し、以下の解析がこのシミュレーションモデルを用いて行われた。
- ・ランウェイ閉鎖時の解析
- オリンピック閉会時に、ランウェイの閉鎖が発生した場合の解析。解析の結果、ランウェイの閉鎖は空港の処理能力を極端に減少させ、200万ドル以上の費用が発生することがわかった。結論としてオリンピック開催時には、できるだけ滑走路閉鎖の事態を回避する必要性が大きいことが判明した。
- ・タクシング経路の変更に関する解析
- オリンピック開催中、航空機に爆弾が仕掛けられた場合を想定した解析。この場合は航空機を他の航空機や空港施設から隔離し、安全なエリアで処置を行う必要がある。そのため、あるエリアのタクシーウェイは閉鎖され、タクシング経路は変更を余儀なくされる。またそこでTAAMを用いて、変更されたタクシング経路を使用した場合のディレイについて解析を行った。その結果、ディレイにはそれほど大きな影響は無いことが判明した。
- ・オリンピック閉会直後の増便
- オリンピック閉会直後は、通常に比べて100便以上の増便が想定される。またそのほとんどが国際便である。デルタ航空のATC専門家たちは、デパーチャーフィックスを変更して、予期される大規模なディレイを減少させることを考えた。これを解析するため、TAAMシミュレーションモデル上に、新しい出発経路を新設し、航空機の一部をそちらに振り分けてシミュレーション上で模擬を行った。その結果、現状よりも良い出発フィックス及び経路の案が作成された。この案は、Hartsfield空港を利用する各エアラインの責任者や、管制官たちにデモンストレーションされ、実際に使用されることとなった。
閉会直後、デルタ航空の案が実際に運用された。この案は非常に良い結果をもたらした。当日は航空機の増便と悪天候が重なったにもかかわらず、さしたるディレイや混乱も発生しなかった。
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