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ダウンロードMICRESS:マルチフェーズフィールド法に基づく合金組織形成計算ソフトウェア

マルチフェーズフィールド法

マルチフェーズフィールド法

フェーズフィールド法では界面を連続変数(秩序変数)を用いて表現する。例えば、2相の凝固で固相を1液相を0と定義して、界面は0から1に変化する範囲と定義する。これにより、デンドライト界面のように幾何学的に複雑な界面形状でも、領域に貼り付けた秩序変数により表現可能となる。この際、実際の界面幅(ナノサイズ)と計算の界面幅(計算格子サイズ:ミクロサイズ)の大きな違いのもと、界面幅を維持しつつ、界面エネルギーを補償する問題が解決されたことで、フェーズフィールド法が材料組織シミュレーションで広まった。

その後、多相系への拡張がなされマルチフェーズフィールド法と知られている。フェーズフィールド法が実用合金のミクロスケール組織予測計算の決定版と見なされている理由としては、そのスタート段階において系の自由エネルギーにアレンカーン方程式を適用しているが、自由エネルギー密度にどのようなエネルギーを入れても良いことにある。特に合金プロセスでは、熱力学的自由エネルギーを入れることで、相間のポテンシャル差から速やかに界面駆動力が評価できる。MICRESSはこのマルチフェーズフィールド法を汎用化したソフトウエアである。自由エネルギー密度に歪みエネルギーを加えることで応力・歪み連性計算オプションが用意されている。


熱力学データベース連携

一方、古くから計算熱力学(CALPHAD法)が確立しており、鉄鋼系、アルミ合金、ニッケル合金などのデータベースが多く開発され、これを用いた高精度の状態図が材料開発の場面で多く利用されている。 CALPHAD法のポイントは自由エネルギーの効率的かつ高精度のモデル化である。したがって、これらのデータをそのままフェーズフィールド方程式の自由エネルギー密度に代入すれば速やかにそれらの組織形成計算が可能になる。CALPHAD法のソフトウエアとして世界的なスタンダードと見なされているのがThermo-Calcであり、MICRESSではThermo-Calcの熱力データベースと密なインターフェースを取っている。これによりMICRESSは非常に汎用性の高いマルチフェーズフィールド法ソフトウエアとなっている。

熱力学データベース連携

各種の核生成機能

材料プロセスにおける組織形成では核生成が起点となる場合がほとんどである。このような計算を可能にするためMICRESSでは細かい核生成条件が設定できるようにプログラミングされている。基本的には古典的核生成理論に基づいている。Al合金のように凝固時の大きな潜熱による復熱効果も加味できるようになっている。

各種の核生成機能