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サンプル&事例紹介ANSYS AUTODYN:衝撃解析ソフトウェア

衝撃解析用非線形コンクリート構成則CAPROUS

CAPROUS構成則は、伊藤忠テクノソリューションズ㈱が開発したANSYS AUTODYN専用の衝撃解析用非線形コンクリート構成則です。2015年には特許(特許第5769772号)を取得しております。

機能、特長

非線形特性

一般にコンクリートは強い非線形性を持つ材料として知られていますが、CAPROUS構成則では

  • 非線形圧縮過程
  • ひずみ速度依存性
  • ひずみ硬化/軟化過程
  • スポール破壊モデル

を考慮することで、高速衝突問題をはじめとする衝撃問題においてコンクリートの変形・破壊挙動を高精度で再現することを可能にしました。

入力の簡便さ

上記のような非線形特性を考慮する際、多くの場合、膨大な数の入力パラメータをユーザー自身で調査しなければならず、これは非常に骨の折れる作業です。そこでCAPROUS構成則では、必要パラメータを最小限に抑えることで非常に簡便な入力を実現しました。対象となるコンクリートについて下記の情報さえあれば解析が可能です。

  • 密度
  • 静的圧縮強度
  • 弾性定数(ヤング率・ポアソン比)

このように、CAPROUS構成則は高い利便性を持って、コンクリートに対する高度な衝撃解析を可能とします。

解析事例

ここでは、CAPROUS構成則による解析の事例として、RC版を対象とした柔飛翔体の衝突試験解析1), 2), 3), 4)をご紹介します。

1) RC版
 ■ 厚さ120mm
 ■ コンクリートの圧縮強度:25.5MPa
2) 柔飛翔体
 ■ 鋼製
 ■ 筒状
 ■ 衝突速度:100m/s,150m/s,215m/sの3条件

RC版と飛翔体 RC版と飛翔体 配筋 配筋

図:解析モデル

コンクリートの破壊性状(アニメーション)



下表に試験結果と解析結果をまとめます。ここで選定した3試験では、衝突速度に応じてPenetration、Scabbing、Perforationとなっていますが、CAPROUS構成則による解析では試験を再現できていることがわかります。上で述べたとおり、この事例においてCAPROUS構成則へ入力したコンクリートのパラメータは密度、静的圧縮強度、および弾性率のみであり、再現性を高めるためのパラメータ調整は一切行なっていません。

試験結果と解析結果
衝突速度
(m/s)
試験結果 1) 解析結果 2), 3), 4)
100 Penetration Penetration
150 Scabbing Scabbing
215 Perforation Perforation

終わりに

なお、CAPROUS構成則の適用範囲は高速衝突問題に限りません。下記ページでご紹介したコンクリート製砂防堰堤の解析にもCAPROUS構成則が適用されています。

砂防堰堤に対する巨礫の衝突シミュレーション
(http://www.engineering-eye.com/AUTODYN/case/impact/09_entei.html)

比較的衝突速度が小さい問題であっても、単純な弾塑性モデルではなく、非線形特性を考慮したコンクリート構成則が必要となります 5)

衝撃荷重を受けるコンクリートの評価にご興味をお持ちの方はお気軽にお問い合わせ下さい。

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主な参考文献

1) K. Muto, et al., “Experimental Studies on Local Damage of Reinforced Concrete Structures by the Impact of Deformable Missiles part1: Outline of Test Program and Small-Scale Tests”, Transactions of 10th Structural Mechanics in Reactor Technology, pp.257-284, 1989.

2) Masaharu Itoh, Masuhiro Beppu, and Ryo Matsuzawa, “Numerical Simulations of RC Slabs Subject to Impact Loadings by Using the Improved CAPROUS Constitutive Model”, 10th International Conference on Shock & Impact Loads on Structures, pp.367-376, 2013.

3) 防衛施設学会:高速衝突を受けるコンクリート構造物の局部破壊に対する設計ガイドライン(案),2014年

4) Masaharu Itoh, Ryo Matsuzawa, and Masuhiro Beppu, “A Dual-Linit-Erosion Approach to Estimate Fracture Zone of RC Slabs Subjected to High Velocity Impact Loads”, Proceedings of the ASME 2016 35th International Conference on Ocean, Offshore and arctic Engineering, 2016.

5) Nobutaka Ishikawa, Ryo Matsuzawa, Taiki Shibata, Teppei Kaneko, Masuhiro Beppu, Takahisa Mizuyama, “The Effects of Low Velocity Impact on Concrete Dams”, 3rd International Conference on Protective Structures, 2015.

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